今日、届いた日経ビジネスから

 時事深層に吉野家の記事があります。要は2010年2月期の決算が赤字、そしてその原因はすき家との価格競争に敗れ、また店舗数でも首位の座を奪われたというものです。それは、価格の高い米国産牛肉にこだわったからで、品質を重視するあまり、他社の値下げ攻勢に応戦できなかったということです。

 実は、こんな面白い話がありましてね。この前も書いたと思うんですが、ハマチの仕入先をA社からB社に変えました。これまではできるだけ生を扱い、冷凍ものは最終手段として考えていたのですが、生のハマチは養殖にもかかわらず季節によって品質が変わる、そして色も綺麗に出ていないのです。そこでB社のセールスマンが冷凍の特殊加工したハマチを勧めるので「じゃあ、1回使ってみるか」と試しに使ったのがわずか3週間前でした。冷凍の魚を解凍するとドリップといって、水が出てくるわけです。これが一番気になっていたんですが、この冷凍ハマチにはそれがないわけです。それで、品質も一定なので、思い切って切り替えることにしました。そして仕入れ値が下がったので、思い切って値段を下げてサーモンと同じ価格設定にしたというものです。この価格は、同じアトランタの日本食レストランと比較しても最安値かもしれません。
 もしも、吉野家のように1社にこだわり続けていたら、どうなっていたでしょう?まあ別にどうなってもいないと思うのですが、お客さんには綺麗な色で脂の乗ったハマチが今までの3割安で食べられるわけですから、申し分ないと思いませんか?それで売る側も前のハマチと同じ利益が確保できるわけです。
 うちのようなある程度の高級店が値段を下げるということは意味があると思います。結局、正直な商いをするということはお客さんの信頼を得るには大事なことで、安く入ったという理由があれば安くします。その代わり鮪など毎回仕入れ値の違うものは、毎回価格も変動しますと伝えてあります。


 特集はマクドナルドなどです。「退くことで強くなる」すでに発表していますが、400店舗を閉店しますが、これが今後勝つための撤退なのです。日本人は撤退が下手で苦手、それはヤオハンの例を読むとよく分かりますね。ダメになってから退くのではなく、良いときに退く、それが戦略なんだと思います。
 私も今、それを目指しているのですが、本当は2007年に撤退すべきであったと思うことがあります。米国を2007年に去っていれば面白かったんじゃないかと。 店やビジネスは大抵そうで、ダメになって赤字が出るから閉めるわけですね。そうではなく、次の戦略のために閉めるべきなのです。会社や自分の将来設計から外れてしまったものがあれば、いくら業績が良くても閉めていく、そういうポリシーは大事にしたいですね。でも、それがなかなかできない。カブの売り時みたいなもので、高いときに売らないといけないのに、「まだ上がる」と欲が出て売り損じ、結果的には下がったときに、堪えきれなくなって売る人が多いわけです。

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