格下げでミニショック

 世界同時株下落です、これは11月でしたか、ドバイショックの後で考えると久しぶりのことです。ことの発端はご承知の通り、S&Pが欧州のギリシアの格付けを3段階下げジャンク扱いに、ポルトガルを2段階下げたことに起因しています。

 今回のギリシアの格下げは、ルーマニアと同じレベルで、ハンガリーやアイスランドよりも下になりました。当然ながら融資の話になりますが、これとて一番強いドイツではやはり、国民を納得させないといけないので、ギリシアに対して一層の緊縮財政を要求することになるでしょう。ただ、人員削減、給与カットのほかに何ができますか? 再建する力がないといくら動かそうとしても動きませんし、再建する芽がないといくら水を与えても芽は出てきません。前にも書きましたが、ギリシアに世界に誇れるような産業はあるのかい?ということです。たぶん、ないでしょう、となるとお金を突っ込んでも溝に捨てるようなことになるでしょう。

 ギリシア国債の10年ものの利回りは10%を超えて、市場では国家破綻をすでに織り込み始めているといいます。

 ポルトガルに関しては、ギリシアとは別物みたいです。ポルトガルの場合、政府の債務よりも民間の債務が問題になっているからです。09年GDPに占める財政赤字は9.4%でギリシアの12.7%よりも低いからです。またポルトガルは財政赤字を05年のGDP比6.1%から07年に2.6%に半減させた実績をもっています。そして今回2013年までに財政赤字を半減させる計画を採用しました。

 ポルトガルでは、人口高齢化に伴う公的支出が今後50年間でGDP比2.9%増加するだけですが、ギリシアは欧州平均の5.1%を大きく上回り16%も増加する見込みとなっています。ポルトガル政府は、年金制度を平均寿命の変化と連動させていて、さらには退職年齢の引き上げに対するインセンティブも導入しています。

 では、どうしてポルトガルが危ないのでしょう?それはユーロ加盟10年間であまり成長しなかったからです。競争力のある製品を輸出しようにも東欧などに負けてしまったことですね。その結果、ポルトガル人が外国に借金をしてしまったのです。家計の債務はGDP比でほぼ100%、企業債務は140%に達しているのです。

 そんなことから、11205ドルから200ドル以上下げたダウですが、200ドル以上下げたのは今年の2月4日以来のことでした。ちょうどリーマンショックの前は11421ドルで、これが08年9月12日でしたが、なかなかこの数字を超えるのは簡単ではないということです。

 気になるのは、ギリシアに融資をしている国、ドイツでは数行が貸し出しをしていて、デフォルト(債務不履行)になると損をするわけですね、当然ながら米国の銀行も同じような目に遭うでしょう。それが株価を下げる原因になるんでしょう。そして1つ火を噴けば、その横も吹く。ちょうど地盤の弱いところに火山の噴火があるようなものです。欧州の半分の国はダメな部類に入っているわけで、そうだからこそ、「ユーロに入って強くなろう」だったんでしょうが、逆にユーロに入って弱くなったのかも知れません。今週末までにギリシアが何らかの策を発表すると思いますが、それ待ちです。

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