週末往来2:リコールとお家騒動の関係

 しばらくはトヨタ関連の情報が続きます。この怒りは、正しいアクセルペダルが装着されトヨタから謝罪が来るまで収まらないと思います。

 トヨタは誰のものか? トヨタは株式公開企業である。創業者の佐吉から始まり、息子の章一郎、そして孫の章夫と社長に就任していったが、これだけの世界企業で世襲が続く(間には一族以外も入っているものの)ことはおかしくないか? それは従業員に「頑張っても社長にはなれない。一時的になれても創業者一族へのバトンタッチでしかない」と思わせてしまう。

 実際にトヨタ一族の株式保有率はわずかに2%でしかない(ちなみに章夫は0.13%持っている)。それでも権力を握っているのは英二と章一郎で、ここがトヨタの強みであり弱みでもあろう。かつてはこの両輪の下に番頭格が五奉行のようにういて、しっかりとしたピラミッドを作り、組織が固まっていたのである。
 ここまで書けば、「歴史は繰り返す」ではないが、どこかの殿様に似ていないか? 豊臣家がその類似になる。思えば日産は財閥のエリート系だった。これが織田信長などの戦国武将としよう。ところがトヨタの前身は紡績屋であり、元々の名家ではなかったと思う。それは秀吉も同じ。織田に取り付き、草履持ちから出世し天下を取ったのだからたいしたもの。

 やがて戦国時代が終わり、安土桃山時代といわれる時代に入っていく。今の時代で照らし合わせると「成熟化社会」に該当する。秀吉もそろそろ引退、跡目を決めないといけないが、そこで秀頼を指名する。あの時代であれば当然のこと、世襲制の世の中であるから。そこには重臣が仕えており、上が少々抜けていようとも、問題は起こらない。

 話を元に戻すと、渡辺が退き、章夫が社長になり、奥田ー張ー渡辺と3代続いていた一族外社長の時代が終わり、「大政奉還」になった。ここで章夫は何をしたのか?組織改革として、5人の副社長のほとんどを交代させた。自分が動き易い体制を作るのは当たり前のことだが、ここにしこりができてしまった。トヨタの内情は知らないが、派閥もあってであろう、それによって出世のラインに乗っていた人物もいたであろう。そのラインが絶たれ、自分の先行きに不安を感じる者もあったかも知れない。「殿ご乱心」とは言わないが、あまりにも急ぎすぎた組織改革に社内は動揺、ただ文句は言えない、それは「創業者の孫」の重しがあるからである。

 モノ言えない人は、貝になる。貝は閉じたまま、何事が起ころうとも開くことはない。そうするとトップに必要な情報が上がってこない、上がってくるのは都合の良い情報ばかり。そうした中で起こったリコール問題、その対処の不具合。
 おかしなことに過去3代の社長が拡大路線を走り続けた機関車だった。財務系の渡辺を除けば、遅れて進出した北米事業を軌道に乗せた奥田、そして拡大した張の2人が今回のリコールの影の主役だったかも知れないが、コメントは一切なし。別に引退したわけでもなく、籍はまだトヨタ社内にあるにもかかわらず、貝を押し通していることは不思議である。

 これについては、2つの考えがあり、章一郎から「何も言うな、章夫に試練を与えよ。自分で考え解決する力をつけさせる絶好の機会だ」と言われている。もう1つは「俺たちは、豊田家じゃないからね。それにこれは社長の仕事」と割り切っている。この2つだと私は思っている。
 結果的に、これが長引き章夫が引責辞任するのを待っている連中がいるのは確かなようで、トヨタもいよいよ、これで一皮向けて本当の世界企業に変わっていくと考えれば今の騒動はプラスという風にも考えられる。

 パナソニックを見るとよーく分かると思う。同じようなことが起きていた。幸之助は息子がいなかったから娘婿の正治を社長にしたが、正治は少し利口で自分が「器」ではないことを知っていたため、早々と社長を譲った。その息子であり創業者の孫も関連会社にはいると思うが(別に仕事しなくても食べていけるから)、パナソニック本体にはいないと思う。

 他の大企業を見ても、SONYしかりホンダしかり。世界的な食品企業サントリーは世襲が続いているが、ここは未公開企業なので何をやってもいい、会社は株主のもの、株主は一族であるから。
 そう考えると、トヨタは実に歪な会社といえ、これが日本を代表している。したがって、日本が経済的にガラパゴスと言われ、その島の中でだけ進化していくという特異な現象が今の日本を象徴しているのであろう。行き先がない国、人口が減少し、滅びていく国、そうならないためには新しい血と交わり、新しい進化をしていかないといけないが、それができるかどうかは疑問。

 私は最近、ドイツ型の成熟型社会形成が日本のお手本になるのではないかと思っている。欧州の優等生、ドイツ。英国ダメ、地中海諸国全滅、フランス?今一分からない、ドイツはその中において群を抜いている。日本よ、ドイツに学べ。結果的にトヨタの話から日本全体の話になってしまった。そう、トヨタは日本の写し絵に他ならない。

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