イカから学ぶ売れないものを売る方法

 アメリカ人にイカの寿司を食べさせる? そりゃ無理な話です。大体こういう嚙みにくいもの、貝類、たこなども彼らは嫌いますね、これが定説です。
 たまたま月曜日に来られたMike Mills さんにイカの寿司を召し上がっていただきましたが、追加が来ました。日本食通の彼は好きだったのです。ただ、イカを普通に握っても食べてくれなかったでしょう。細かく千切りにして、紫蘇の葉を帯にし上に梅肉を少し付ける、それで醤油をつけずに食べてもらいました。これだけの手間をかけると味が伝わるものです。イカ自体は甘いものだと思います。
 市中のイカには2種類あります。1つは80%がそうでしょうが、切れ目の入ったイカで味付け紋甲イカといいます。これはすでに分類上は魚類ではなく、加工食品の分類になります。紋甲イカに味をつけて加工しているからです。大阪のサブという会社の商品が一番美味しい。そして普通のイカですね、肉が薄いのはたいていヤリイカです。するめイカになるのはこのイカだと聞きました。あと肉厚なのは、スミイカですね。ただ、寿司で食べるのは肉が薄いヤリイカの方が向いていると私は思っています。
 そんなわけで、翌日アメリカ人の友人家族が部下を連れて4人で来店しました。彼らはMike Millsが有名人で何者かも知っていますから、「サインもらったのか」とか聞きましたが、私は9月に会って写真を一緒に撮っているからいいよと返事をしました。それで最後に「Mikeが2回も食べた寿司があるけど、試しに食べてみな、これまで一度も食べたことがない魚だよ」と言って同じものを出してあげました。そして4人同時に食べます。感想は皆さん美味しいというではありませんか?
 アメリカ人は食べず嫌いなんでしょうね、そして先入観が実に強い。だから食べたこともないのに嫌いで注文しない。彼らもそうでトロ、ハマチ、生帆立が大好物で、たまに鯵を食べる程度です。とりあえず、どんどん無料で食べさせてみることですね。
 月曜日にはこんなこともしました。Betsyというお持ち帰り専門のお客さんがいます。ここ3ヶ月のお客さんだと思いますが、毎回同じものをオーダーします。それはSpicy Tuna Roll と California Rollの2本です。よくもまあ飽きないことだなあと思うのですが、たぶん他の商品を知らないんだろうと思い、その日のオーダーにハマチを使った巻物を1本サービスで加えました。ただで巻物1本もらえばお客さんは喜ぶでしょう。ちゃーんとメッセージも添えていますから、蓋を開ける前に読みますね。「ベッツィー、きみはいつも同じものを食べているから、今日は少し違いものに挑戦して欲しいんだよ。人生には変化が必要なときもあるだろう?」その後彼女は戻ってきていません、大体1週間に1回か2回ですからね、それが失敗に終わってもナイストライにします。また次のお客さんに何か試してもらう。不景気で業績が悪いときにはいろいろありますから、少しお客さんにプレゼントするのも1つの作戦です。
 そういえば、デール・カーネギーの本の中に、「酸っぱいレモンも、レモネードにすれば美味しくなる」という文章がありましたね。

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