営業とは何ぞや、モノを売るということは何ぞや?

 2日前にある会社のアトランタ支店長が来店しました。彼とは数年前から顔見知り程度ですが、お客さんとして来られるのは2回目です。大変、真面目な方です。その会社に新人が入ってきて業務を一通り覚え、いよいよ営業を始めるようですが、その彼をつれてきました。
 そこでいろいろと話をしていて感じたことがあります。例えば取引(口座)がないから行かない、というのはおかしい。何か学ぶものがあれば顔を出して話をすれば何か習得できるであろうからですね。商売は抜きにして同じ業界にいるのであれば、情報交換はできるじゃないかという話になりました。
 実は、アトランタのレストラン業界はあまり横のつながりがないと私は思っています。それでも「よそ様」の動向は気になり、情報を取りたいわけですね。それをもっているのが営業マンではないかと。例えば営業マンは人気のある店も知っているし、流行っていない店も知っているわけです。そして、その営業マンがバカでないならば、流行る店の条件を見出しているはずですね。そういう情報をどんどん流通させることによって、売り上げの上がっていない店をサポートできるじゃないかと。
 この時期、どこも売り上げな伸び悩み、経費の節約などで安いものに流れます。ただ、価格競争がすべてではないということです。品物に付加価値があるなら、店は買うということですね。最初にありきは、価格競争ではなく付加価値競争ではないかということです。
 最近、そういう営業マンを見たことがありません。それは何かというとマニュアル通りの仕事をしているからでしょう。アドリブがない、売れないものを売るのが営業マンです、注文取るだけなら、営業マンに高い給与を払う必要は何もないわけですね。場合によっては、商品一覧シートを作成して「すみませんがオーダーをFAXしてください」とすれば、経費も浮きます。ただそれでは何の情報も得られないわけですね。
 営業マンが店や会社に伺うには、付加価値・情報を手土産にしてこないとおかしいわけです。大変な仕事ですね。
 攻めるポイントはいくらでもある。その日に言ったのは、A社とB社があれば、必ずAにあってBにないものがあるはずだということです。特に日本からモノを仕入れている場合には、必ず欠品が起きるのです。そういう情報を仕入れて、攻めていけば売り上げは作れるじゃないかといいました。
 今日は朝からB社に返品に行ってきました。ある商品が破損していたためですが、これは商品搬送上の問題であると私は思っています。これについては何度もB社の担当者に対してクレームをし、交換してもらっていますが、6ヶ月も経過して改善がされていないのです。失敗から学ばない会社という烙印を押されても仕方がないでしょう。
 壊れ易いものをそうでないものを混載することがおかしいのです。また冷凍ものと冷蔵ものが混載され、冷蔵ものが破損することも多々ありました。例えばこんにゃくは大変デリケートで、冷凍ものの横にあると凍ってしまいます、これにより商品価値がなくなり廃棄になります。こうしたロスは塵も積もればで、莫大な金額になり、会社の経営に影響を及ぼします。ロスを失くせば収益が改善する、収益が改善できれば値下げの余地も生まれ、価格競争に耐えられるということになります。そこまでの全体視野を一営業マンでも持つことが大事で、それを上に報告し、事業所全体として廃棄ロスの削減に取り組むような体制を整えるのが常識でしょう。ただ、見た限りではそうは見えないんですよね。
 そういうこともあって、A社と取引を開始することにしました。これまではなるべく取引先は少ないほうがいい、そしてパイプを太くすればいいという考え方でしたが、日本食に対するFDAの検査が強化され、荷物が港で足留めされることが増えてきました。そうなると1社体制では対応できなくなってきていることも事実です。特に基本商品の在庫切れは困りますから、あるところから入れていかないといけないわけですね。そして競争原理を持ち込むことです。単純に価格競争であり、サービスの競争です。どちらの会社がより当社にとって有利に働いてくれるかということになります。
 これまで黙って買っていたところが、急に買わなくなると何かを気づくはずです。それで頭使い、努力して、営業が伸びるということになりますね。努力もしないで売り上げ作っちゃあ、いかんということです。それはうちの従業員にも言っています。ただ注文取って運ぶだけなら誰でもできることです。今日のお勧めをしっかり説明し、それらがいかにお客さんを満足させるものであるかを納得させないといけないわけです。それによって売り上げは+になり、お客さんも新しいモノを発見する喜びに恵まれ、満足する、そしてまた来ようという風につながっていくわけですね。
 営業も同じですね、基本の商品だけ売るのであれば、FAX流せばいいわけです。ないものを売る、特売品を売る、新しいものを売るために現場に足を運び、説明をしないといけない。そういう当たり前のことを当たり前にできる人が少なくなっていますね。
 営業とはまず、自分を売ること、そして次に商品を売ることなんです。と、私は思う。

Comments

Popular posts from this blog

実録 詐欺物語

ハワイ島は超金持ちのお忍び場所

すでに暇モード 5月26日(金)