師匠から弟子への1通の手紙 

 弟子
いよいよ、今週土曜日じゃのお。  思えば前回はタウンレークで2月ではなかったかと思う。あの時の悔しさを今思い起こし、土曜日のヘリテージにぶつけてみてはどうかのお。
 今回はライバルN島が欠場となったが、相応しいメンバーを選んでおいた。まずN社のS、別名「最大のハンディを持つ男」と言われておる。綺麗なスイングはいかにもプロに教えを扱いた結果であろう。そのドライバーは素晴らしいものがある。ところが後が続かん。第2打が雑、グリーン回りは普通、そしてパターが今一で未だに100を切っておらん。
 そういう点では、君にうってつけのメンバーとなる。どちらが先に乱れるかが問題。前回の昇りのパー5で15打を叩いた記憶が走馬灯のとうに頭の中を走っていくのお。あのバンカーだけには捕まるな。横から攻めろ。

 もう1人のメンバーは「往年のスター、陽炎のN」だ。私の抱える刺客の1人だが、彼女も昔はよく飛んだもんだ。それが肘を痛めてから(決して加齢のせいではないぞ)、スコアがまとまらなくなってしもうた。そして「明日があるなら」ではないが、もう一度再起をかけて練習に励んでおる。ブリジストンのオレンジボールに「うに」と書いて戦いを挑んでおる。君に少しばかりのやきもち的ライバル心を燃やしておるぞ。その炎が見えるかのお。

 そして最後のメンバーは私だ! もう90という平凡なスコアでは満足しなくなった。ようやく「師匠」と呼ばれて恥ずかしくない数字をここ3回連続で出しておる。
 要するにきっかけじゃよ。ドライバーがきっちり当たるようになったのは、スイング軌道が綺麗になるようにグリップを下げたからじゃ。こんなもん、誰が教えてくれたわけでもない、自分で悩みすぎた末の結論で、やってみたらまぐれ当たりをしたまでのこと。それをコピーしてペイストしたのじゃよ。
 アイアンもそうじゃ、「土俵の傷は土俵で癒す」の名言ではないが、やはりアイアンの傷はアイアンで癒すしかないのじゃよ。7番だけ持って打って考え、打って考えを続けると、答えが出るくるもんじゃよ。
 その答えはのお、大振りしても小振りしても飛距離は変わらんということじゃ。それなら、コンパクトに振ってより正確に目標地点に落とした方が賢いじゃろお。そういうことじぁ。
 あとは、練習を続けてのお、体に染みこませるしかないんじゃよ。それは古びたテーブルのニスを布で染みこませて行くようなもんじゃ。こすってこすって色を入れていくんじゃよ。その繰り返しじゃな。

 まあ、頑張ってくれ! この手紙が「読むクスリ」になればそれでええ。
                                       師匠

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