父から娘への9通目の手紙

「シャンパンが分かる女になりなさい」 ちょっと贅沢にね。


 このシャンパン、1990年のポル・ロジェエだけどね。なじみの客Billが持ってきてくれましたよ。彼はフレンチしか飲まない。そして彼が飲む50%はシャンパンですかね。

 ポル・ロジェはかつて扱っていたんで知っているだけの話。このシャンパン、生産量が実に少ない。ポル・ロジェが1年間で作る量をモヘ・シャンドンは1日で作るらしいからね。

 まずは若い君にシャンパンが何なのかを説明しないといけない。シャンパンは、スパークリングワインの中にあり、スパークリングワインは、一般には3気圧以上のガス圧を持った発泡性ワインの総称です。(3気圧以下のものは弱発泡性ワインといいます)。
その中で、「シャンパン」はフランスのシャンパーニュ地方でつくられ、かつフランスのワインの法律(AOC法:原産地呼称管理法)に規定された条件を満たしたもののみ名乗ることができる名称です。条件にはつくられる地域やぶどうの品種、栽培や伝統的製造方法(メソード トラディショナルと呼ばれる製法で、シャンパン製法とも呼ばれる)、アルコール度数などの項目があります。
「シャンパン」以外の「スパークリングワイン」では、
フランス=ヴァンムスー(Vin Mousseux)、クレマン(Cremant)、イタリア=スプマンテ(Spumante)
ドイツ=シャウムヴァイン(Schaumwein)、ゼクト(Sekt)、スペイン=エスプモーソ(Esupumoso)
カヴァ(Cava)、イタリア=プロセコ(Prosecco)などが知られています。
 
 

 まあ、シャンパンは神戸ビーフのようなものと考えると分かりやすい。そこでできたものにしか付けられない名前で、かつ最高峰だからね。

 さて、どうしてシャンパンなのか?今夜のお客Billが私に「TAKA,シャンパン好きなのか?」と言うので「シャンパン好き、すべてのスパークリングワインが好きだけどね」と答えたね。
 やはり、その泡かね。グラスの底から湧き出るように出てくる泡、それは上に上がると消えていく。まるで人生じゃないか?とね。楽しいことも辛いことも出ては消え、そしてまた出ては消える。その繰り返しのように思えるんだよね。だからシャンパンは「人生そのもの」と答えたんだけど、Billも納得していたね。
 普通、シャンパンは祝いの席で飲むだろうが、私は辛いときにも飲むね。それは前述したように消えていく泡に別れを告げたいからではないかね。辛いことも必ず消えていくんだということを見届けるためかね。そしてなんとなく辛さが楽しみに変わっていくように思えるんだよね。

 あれは3週間前だったと思う。200ドル以上するシャンパンをある人のために開けた。そのシャンパンはその人のために買ったものだったからね。
 最初はブラインドで出したよ。テイストの分かる人間だと思ったからね。そして分かってくれたようだったからブランドを見せた。まあ、誠意が伝わって良かったと思う。あこがれのシャンパンと聴いていたんでね、飲んだことがあるかと思っていたが、初めてだったらしい。
 次に同じシャンパンを開けるときが来るかどうかは知らないよ。でも、また来るんじゃないかね。
 
 

 こうして大人になると仕事以外にも学ぶべきものが沢山あると思う。それが人間をより成長させるんじゃないかな、と父は思う。

                                                                   

 

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