父から娘への手紙 7通目

 今回はお金について話そう。
 私はあなたが、今回の留学費用を親から借金したというのを聞いて少し驚きました。でも良いことだと思いましたよ。ちゃんと借用書も書いたというしね。出世払いとはいえ、大変だと思う。そう思い、アトランタの父は13日に美味しいものをご馳走するわけです。シンガポールから妹が帰ってくるんでね。

 さて、私は決して裕福な家庭に生まれてはいません。高校を出て京都に行ってから学校もすぐに辞めたので金欠でした。錦市場のバイトがたまたまあって、そこで時給600円で働いていましたかね。それは野菜を自転車で料亭に配達する仕事でした。錦の市場から遠いところは祇園まで行っていましたかね。給料前でご飯だけあったのでそれに塩をかけて食べたことも2日あったでしょうかね。
 そして当時の私のランチは王将でした。西木屋町にある店でいつも食べていたものが五目麺でした。その理由は簡単、麺があって野菜が摂れてスープ飲めばお腹が一杯になったからですね。値段は覚えていませんが、500円程度だったように思います。そんな生活が2-3ヶ月はあったと思います。
 その後はエスペランサに入ったので、給料は10万円以上あり、その五目麺も食べなくなったと記憶していますけどね。

 実は京都に行く前に自動二輪の免許を取るために岡山の備前に合宿しました。そこには大阪からも車の免許を取りたい人が大勢来ていましたが、その中にいたのが廣田さんでした。沖縄出身の人で商売人でしたね。彼らは2週間ですが、私は1週間でした。それで私が先に帰るときに廣田さんが「おい、京都と大阪近いから遊びに来いや」と言われたのです。

 そして京都に行ってしばらくして廣田さんの家、アパートでしたが、遊びに行きました。彼は果物屋を経営していました。住んでいたのは京阪沿線の千林です。千林といえばダイエーの発祥の地ですね。近くには確か大阪工業大学があったように記憶しています。
 その後何回か行き来しましたが、彼からお金についていろいろ話を聞かされましたね。そして言われたことは「まず100万円貯めなさい。これでお金に対する見方が変わってくる。100万円を貯めることができたら200万円は簡単」とか言っていたように思いますけどね。
 

 当時の私にとって100万円は雲の上のような数字でした。それでも確か3年ぐらいで貯めたと思います。そしてお金があると心に余裕ができます。3年で100万円でしたが、次の200万円は3年かかりませんでしたね。
 出張に行ってお金をセーブして貯金に回していましたかね。株も一時やっていましたし、28歳で会社を辞めるときには1千400万円ほど持っていました。これはなかなかでしたね。20代でサラリーマンで1千万円を持っている人は少ないのではないですかね。

 一時はお金を大事にするということでアイロンをかけたこともありますよ。お金を愛せば、お金が私を愛してくれると信じていました。お金を大事にすればお金も自分を大事にしてくれる、そんな関係でした。

 それでもコンビニやって失敗し、その1千万円は消えてしまいましたね。貯めるのは大変だがなくなるときは一瞬です。

 アメリカには300万円だけ持ってきましたが、今では家を持ち、別荘もあり、まあまあの生活をしています。クレジットカードの使用額を考えたことはありませんね。まあ、元々がケチですから使わないですね。
 自分のものよりも、他人に使う方が多い。また食事にお金を使いますかね。美味しいものを食べないと栄養になりません、力になりません。そして味覚が肥えませんからね。
 お金は扱い方を覚えれば寄ってきます。なかなか逃げないですよ。ただ粗末に扱ってはいけない。お金に嫌われたらお終いですかね。
 賢いお金の付き合い方とは何でしょうね? 仲間を増やすことですかね。投資してさらにお金を増やす、お金という仲間を増やしてやると、お金は仲間ができたことで喜びますかね。だから、上手に使わないといけないのです。

 ドーンと使ってもそれが生き金なら問題ない、しかしそれが死に金なら大きな問題です。お金は常に生かしてやらないといけないのです。

 アメリカに来てからも、ビジネス始めてパートナーに7万ドル近くを盗られたことがあります。そして借金背負った私にお金を無担保で融資してくれた人もいます。1人はアメリカ人、もう1人は日本人ですけどね。それは2年で返済しましたかね。
 そして立ち直ると国税局が申告漏れとして10万ドル近くを徴収したこともあります。このときも危機でしたが、手元に10万ドルあったので支払いはすぐに済ませました。借金せずにお金が払えるというのは素晴らしいことです。

 今は比較的順調ですが、今後何が起きるかは分かりません。それでも私はお金に縁があるようです。それは私がお金を大事にするからではないでしょうかね。
 お金を回る大きさがあるとします。毎月10万ドル使うとしましょう。その輪を15万ドルにするのです。そして20万ドルに広げていく。さらに100万ドルでも良いわけです。お金を大事にしていれば、お金が自分を大事にしてくれるからですね。

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