レストラン近況

 いやあ、これだけ暑いと客入りが悪い。というか自分自身も仕事をしていてあまり良い気分ではない。店は平屋なので、太陽の熱をかなり浴びるとエアコンは効かない。それでも屋根裏にインスレーションをした効果で去年ほど暑くない。確か去年は85度まで上がったことがある。

 今年は今のところ、今日が最高で82度。ただし温度設定は74度にしている。それでもそこまで下がらないのが現状。その理由の1つはキッチンのフードファンを回すと、冷気がキッチンに流れるためである。
 そのキッチンはさらに暑い。熱をどんどん使うため、おそらく85-99度はあると思う。そんな中で仕事をすると実に食品の安全面に気を使う。物が簡単に劣化するからで、魚をおろすときにも手早くやらないとその時点で劣化する。特に夏場は水の温度が高いので、魚を洗うときにもあまり流さないようにしないと「ぬるま湯」に落としたような状況になりかねない。

 本当に生魚を扱うということは恐ろしいこと以外の何物でもないことを思い知らされる。そしてこれだけ注意していても、物は劣化する。
 正直な話、ここ最近ではきゅうりのマリネが2回劣化していた。幸いにもお客さんに出す前に発見したもので、クレームはなかった。キッチン補助のボリビア人には「毎日、ランチの前、ディナーの前に自分で食べて確認しろ」と言ってあるが、それでもたまに忘れてしまうからこんなことになる。

 私自身は、寿司のネタ管理が精一杯で、キッチンはキッチンの人間に任せてあるが、たまにこうして爆弾を落とさないといけない。そういう寿司バーでもカニなどの貝類の扱いには、一番慎重になる。カニがやはり一番当たりやすいからだろう。
 この前は、海老の劣化を発見した。海老など、酢に漬けているので長持ちしそうだが、それでもたまに劣化する。触ればすぐに分かることなのだが。

 これまでの寿司バーは日本人2人とインドネシア人1人の2人体制だったが、1人日本人が6月末で抜けたため、次が見つかるまでの間、バイトで違うインドネシア人を入れて対応している。
 そうなると刺身と握りはすべて私の仕事になり、スペシャルもやるので負担が重い。それでもこなして行かざるを得ない。生魚を扱う作業は私がやらないと危険と思っているからである。

 あくまでも人を信用しない。オーナーシェフとはそんなものではないかとも思う。人に任せるのは良いが、信じてはいけない。彼らはあくまでも雇われの身であり、時間を働いてなんぼの人間でしかない。責任感はないに等しいと思っている。間違いをしても、日本人のように「すみません」がないのが常識。それでも、そういう連中というか時間給の安い人間をうまく教育し、使っていくことによって利益が生まれるわけで、彼らを巧く操縦しないといけない。

 1人はサーモン程度は卸せるので、7月から給与を上げた。ただ、彼には遅刻癖があり、10分遅れると10ドル引くようにしている。5分まではセーフにしている。5分以上は怒り、10分以上はお金で態度を示すのである。

 そして彼には「自分の時計を10分進めなさい、そうすれば遅刻しないだろう」とアドバイスした。身近に進めている人がいたもので、これは簡単な遅刻防止策だと思う。
 さらに「時間が守れないような人間は約束も守れない、仕事もできない、したがって金持ちにはなれんだろうな」とも私は言う。
 これは世の中の常識であろう。時間だけは金持ちにも貧乏人にも1日24時間平等に振り分けられている。金持ちは、その24時間を賢く使うことによってより多くの金を稼ぎ、貧乏人はそうした平等性にも気づかず、ただ時間を粗末にして無駄に使う、したがってせいぜい小金しか稼げないというのが私の持論である。

 もう1人は巻物専用。まだまだ手が遅いので話にならない。彼は月曜日は暇なので使っておらず、この1日分浮いた金がもう1人の給与上昇を埋めているというのが私の計算で、実質経費上昇はゼロに抑えている。2人体制は混んだときにはしんどいが、たかが一時のこと。今のところは機能している。

 フロントも新しい人が多く、サービスの低下を危惧している。新しいホステスはその分、時給とチップを低く設定し、「きちんとやれば上げる」と言っているが今のところ上げる予定はない。彼女が他に働き口がないことを知っているので、上げる必要がないわけである。このあたりは需要と供給の把握をしている。

 最近になって、長く勤めているサーバー2人の時給を2ドルから3ドルに上げた。彼女たちはよくやってくれているので、報いるためである。彼女たちはドリンクに補充などサブの仕事もこなしてくれるので、かなり安心して見ていられる。

 ちなみに1人の女の子の時給を1ドル上げると、年間負担は1800ドルになり、2人分で3600ドルという計算。まあ、税金を払うことを考えると、この程度の金額は還元してやったほうが良い。1800ドルというとほぼ彼女たちの4週間分の給与に近い金額で、これを機会により働くことと期待している。

 前に読んだ本で「インドネシア人は、男性よりも女性の方がよく働く」とあるがまさにそうである。1人は来年末に帰国することが決まっており、それまでに一生懸命稼いでくれればいい。そしていつかインドネシアで一緒に仕事をしてくれることを期待しているのである。

 最近、思うことは、例えば日本が今後、人材面で海外からの補填をしないと成長できない状況になるであろうということ。そうしたときに、ただ人を引っ張ってくるのではなく、やはりその派遣される国のことを考えてやらないといけない。相互の助け合いをしてお互いがメリットを享受できる仕組みを作らないといけないのではないかということである。

 そういう面で、私はインドネシアで会社を興すが、社長には就かず、最初から彼女たちのビジネスとして支え、あくまでも投資とアドバイザーとしての役割に徹したいと思う。自分の会社で一生懸命働けば、豊かな生活が保証できるということを教えてあげることができれば幸いかもしれない。

 そしてアメリカでこうだけ成功してお金儲けをさせてもらっているのも、多くのインドネシア人が働いてくれているからであって、次は私が彼らの成功のために働く番ではないかと思うのである。こうしたアジア人とのパイプは今後、ますます重要になってくるのは間違いなく、今からしっかりコネを作っておかないといけないとも思う。

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