知ってました? きのこは冷凍すると美味しくなります!

 煮たり、焼いたり、いためたり……。毎日の食卓に欠かせないキノコ。冷凍することによって保存がきくようになるばかりか、旨味成分が増えるということを知っていましたか?

 キノコの種類や新鮮さなどにもよりますが、加熱しただけのキノコに比べてうま味がおよそ3倍になると思っていいでしょう。
ところが旨味成分が増えたからといって必ずしもおいしくなるとは限らないんです。なぜなら冷凍することで歯ごたえが悪くなるものもあるから。キノコの中には歯ざわりを楽しむものもあります。その代表であるエリンギやブナシメジは冷凍するとやわらかくなりすぎてしまう。ただし細かく刻んで炊き込みご飯やギョーザの具などにする場合は、歯ごたえはあまり関係なくなるのでいいでしょう。自信をもっておすすめするのは、ナメコとシイタケ。エノキやマイタケは五分五分というところです。それから冷凍すると香りが強くなるものもあります。

 それはキノコの細胞にある水分が凍ることで体積が膨張し、細胞膜が破れて細胞が死ぬことで、旨味成分のもとがたくさんできるからです。

 もともと生のキノコには旨味成分がほとんどありません。加熱することでキノコの細胞が死んでしまうと、キノコの細胞に含まれているRNAという核酸が、同じく細胞に含まれているヌクレアーゼという酵素によって分解されて旨味成分に変わります。細胞にはさまざまな酵素があるのですが、生きている細胞の中の酵素は勝手に働きません。しかし細胞が死んだ時点で酵素が活動を始めるんです。

 冷凍したキノコを煮ると、すぐに旨味をつくる酵素が働きだします。生のキノコを加熱する場合には、加熱の途中で細胞が徐々に死んでいくからあまり旨味が増えないけれど、冷凍したものを加熱する場合は、すでに冷凍した時点で細胞にダメージを与えているわけですから、全体が一斉に旨味をつくりだす。だから冷凍したキノコは、生のキノコに比べて旨味成分が多いのです。
 ところがキノコには、せっかくできた旨味を分解してしまう酵素もあるんです。干しシイタケを長い時間戻しすぎると、旨味がすっかり消えてしまうことがあるでしょう。

 でもこの旨味成分を分解する酵素は温度が50~60度くらいになると、失活といって、ほとんど働かなくなる。それに対して旨味をつくる酵素のほうは、90~100度近くまで活性が続いていく。ということは、加熱していくと旨味を分解する酵素のほうが先に失活する。したがって70度くらいになると、旨味をつくる酵素はまだ生き延びているから、そこで旨味が増えます。
 ですからキノコというのは、ゆっくり煮ていかないと旨味が増えないんです。いきなり100度近いお湯に入れたり、ワット数の高い電子レンジで一気に加熱したりしてもあまり旨味は増えません。

 食べものは冷凍すると味が落ちるという先入観を覆す冷凍キノコのすすめ。キノコの旬である季節にたくさん買って、冷凍庫に常備しておくと便利ということです。


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