デフレに向かう?

 このところの景気悪化で、庶民の間では倹約ムードが広がりつつあります。今日、こんなお客さんを初めて見ました。ワインのボトル持ち込み、それも1杯分のワインしか入っていなかったそうです。通常、ワインのボトルを持ち込むことは当店では可能ですが、コークフィーを17ドル請求します。それはワイングラスをこちらで用意し、サーブもするからです。今回のような1杯分を持ち込んで飲む場合にどうすれば良いかと相談されましたが、まあ1杯分で請求しても嫌な顔されるし無料でいいんじゃないかと告げました。それにしてもアメリカ人、恥も外聞もなく持ち込みます。ワイン飲みたし、店で10ドル近く払いたくない、そういえば家に残り物があったから持参しようかって感じでしょうか? 私には到底そんなことはできませんけどね。コーラとかの甘い飲料で刺身や寿司を食べることもできません。
 ましてや、水で寿司や刺身を食べることもできません。やはりアルコールが必要です、それかお茶ならまだ許せますね。

 ところでバックヘッドにあるホテル、リッツカールトンの高級レストラン、ダイニングルームが10月1日で閉店することになりました。「次はどこ?」と世間では数店のうわさが出ていますが、それはさておき高級店はしばらくの間はかなりきついということです。というかきついを通り越していますね。いまやお金持ちでも出費を控えているご時勢です。1回の食事に2人で300ドル以上払うようなディナーは敬遠されて当然でしょう。
 高級店でも$29の3コースメニューで客寄せをしないとやっていけない流れになっています。日用品でもそうで同じものならナショナルブランドよりもPBがお得でそちらに流れています。こうした風潮を考えると価格下落の方向、すなわちデフレが浸透しつつあるのではないかと判断しています。
 先日、某旅行会社の社長さんが「ビジネスの利用がすべてエコノミーに変わってしまって儲からない時代になった」と嘆いていました。
 私のところでも、こうした流れを察知し価格見直しを行っています。 例えば鯖。日本の鯖は生で入りますが、1尾40ドル近くします。これが最近売れ残ることからノルウェーの冷凍物に切り替えることにしました。これなら仕入れ値で10分の1程度ですから、仮に売れ残っても損はしないのです。そしてこれまで6ドルだった価格を落として4ドル台にしました。妥協できるところはする、そして価格を下げることにより新しい需要を喚起できるかも知れません。今週からアペタイザーの価格も下げて行きます。これは量を少なくして下げるものですが、同じものを大量に食べるよりもいろいろな種類を少しずつ食べるほうが健康的なので良いかも知れません。とにかく「高い」と思われたらお終いです。この傾向はしばらく続くでしょうし、これでお客さんが来てくれるうちはまだ大丈夫とも言えますね、値下げしても来なくなったら本当にやばい状況だと思います。
 そういえば先週末にCostcoから17日から有効のクーポンが来ていました。前のクーポンが9月6日で終わったばかりです。以前は2ヶ月に1回程度のクーポン配布ですが、最近では毎月のようにやり、それも2回も来ます。会員制クラブ最大手でも業績は下降傾向にあり、少しでもクーポンを使い歯止めをかけたいのでしょう。「いやあ、景気が悪くてねえ、仕方ないなあ」で指を銜えているだけでは何も始まりません。こういうときにこそ「攻める」そしてお客さんの需要を喚起することです。
 実は、先週末からスペシャルでオクラの天麩羅を始めました。ただ天麩羅とは表現しません。うちでの呼び方は「Popcorn Okra Japanese Style」と読んでいます。その理由は簡単で、オクラのフライは南部料理の1つだからです。南部料理では、オクラをあらかじめポップコーンサイズに切って揚げています。もちろんヘビーなソースで頂きますが、私のところでも同じように切って衣をつけています。それをイメージさせた名前です。日本人には分からなくてもアメリカ人、ジョージア人には分かるのです。なかなか滑り出しは好調で、スペシャルからレギュラーメニューに昇格させることになるでしょう。やはりいろいろやってみんとあかんやないけ、という1つの例ですね。

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