オバマ政権でドルが強くなる?

 少し気になるニュースを読みました。これまでの流れで行くと、アメリカの多極化、双子の財政赤字などから、ドルは世界の基軸通貨の地位を失い、ドルの威信は落ち暴落していくであろうというものでした。これに対しては誰も疑いの余地がなかったのですが、少し情勢が変わってきました。
 それは「アメリカがコケれば、世界がコケる」ということです。その影響があまりにも大きいことは今回の金融騒動を見ると一目瞭然です。 欧州のほうがアメリカよりもはるかに影響が大きいことは欧州の数カ国がつぶれかかっていてIMFから緊急融資を受けたことでもお分かりでしょう。
 今回、オバマが政権を73日後から担当しますが、アメリカを再生する宿命を負っています。アメリカを再生? どうするんですか? 荒療治ですか? 緊急オペですか? 秘策は? 簡単に言えば、アメリカに世界の資本を呼び込むということになります。お金のない人が何かやるにはお金を借りるしかありません。アメリカが再生するには莫大なお金が必要ですが、国内にはお金はないのです。 戦争で無駄使いしすぎていますからね。それに貿易赤字もある。国債を刷るしかないのです。刷るのは簡単です。 インク代ぐらいはまだあるでしょうから。問題はその国債を売らないといけません。 アメリカの国債を買ってくれる国を探さないといけませんが、そのためにはドルを強くしないと誰も買ってくれません。そして将来、ドルは強くなるというところを見せないといけないでしょう。
 すでにオバマは、財務長官経験者のロバート・ルービン、ローレンス・サマーズやポール・ボルカーなどを経済顧問として迎えています。彼らがみな強いドルの支持者であることもドルの先行きにとって明るい材料なのです。
 オバマのChangeというイメージが非常に高く、「オバマなら強いアメリカを再生できるのではないか」という期待感が強いと思われ、それがドル買いに走らせて、ここ最近の80円後半から一時100円まで戻したドルですが、不安材料がないわけではありません。むしろ不安材料のほうが多いのです。それは数字でもすでに表れていますが、08年の財政赤字はGDPの3.2%に相当する4550億ドルとなり、09年にはさらに急増して対GDP比7%相当の約1兆ドルに達する見通しです。 まあ、ブッシュが無茶苦茶な戦争を起こし、単純に景気浮揚策で減税を行った結果ですが、その尻拭いをするオバマは少し気の毒かも知れません。

結果として、ドル相場は不安定、一進一退ということになりますが、このところの数字を見ている限り、アメリカ経済の再生には時間がかかります。GMが潰れでもしたら退職者も含めて100万人に影響が出ると言われています。そのためにはお金が必要、金融機関救済もお金が必要、「はい、みなさん私オバマは頑張りますからお金貸してください、少し猶予をください」と頭を下げるしかないのが現状でしょう。 ただ頑張りますというのは抽象的ですからね、具体的に何を頑張るのかを提示しないと世間は納得しないと思います。これまでは「Change、変えましょう」で良かったのですが、これからはそれでは通用しません。

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