円高で海外進出する前によく考えよう!

 円が75円台になり戦後の最高値を更新したというニュースが入ってきました。いずれ60円になる、50円になる、輸出企業は利益の確保ができない状況に追い込まれていくのでしょうか?
 
 そして出す結論が「海外進出」であり、自前で出るケースと現地企業買収によるケースの2つがあると思います。でも、そんなに簡単に物事が運んで行くでしょうか? 

 まず、80年代後半の円高のときを思い浮かべてください。85年のプラザ合意のすぐ後で、確か250円が半分の125円まで行きましたかね?よく覚えていませんが。 
 あの時は土地と株のバブルもあって日本国中でお金が余っていた。それでハワイに始まり、本土上陸し、ロスの高層ビルを買い漁り、それが東海岸にまで及び、NYCで確か三菱地所がロックフェラーセンターを買ったような、ティファニーのビルも誰かが買いましたよね。麻生建物? 秀和など今では懐かしい名前ではありませんか?
 
 そしてバブル崩壊した末、どうなったでしょう?高値で買ったものは皆損して売却して借金だけが残ったのではなかったですかね?
 田舎者の世間知らずの日本人が海外に出て、浮かれて騙されて高値つかみをさせられる。よくある話ですよね。

 なんとなく、今回も同じような雰囲気がしないこともないんですよ。超円高でどうする?と世間では言われていますからね。「やはり強い円を生かすには米国で投資するしかない」とかの結論になるわけです。
今は、中国本土や韓国からの資本もかなり米国に流れていますからね。ハワイの不動産市況が上向いているそうですが、それは彼らが買い漁り始めているからとも言われています。

 そうした前向きな企業や人に「冷や水」をかけたいと思いましてね。まず、海外進出は甘くないということです。

 その1つは英語力の問題。学校で英語ができても会話のできない日本人は山ほどいます。会話が文語体になっていて堅苦しい英語しか喋れない人がいます。
 口語に慣れていない証拠ですね。まあ、それが日本人の平均なんですがね。私のように少年時代から海外に憧れ英会話をやってきた人間でも最初の5年間は大変でしたからね。ここで、まず躓くわけです。英語が喋れないと馬鹿にされると思ってください。

 そして関連しますが、コミュニケーションができない日本人が多い。それも日本の教育のおかげ?でしてね。日本の学校では先生が話し、それを聞きノートに書いていくような一方通行的な教育が主体です。米国では大統領選の討論会のように、常に討論して意見を出し合い交換することが多いのです。したがって米人は口が達者となり、「生意気」に見えるわけですが、そういう教育を受けてきたからなんですね。私は米国の学校に行ったことはありませんが、聞いた話ではそうです。だから、少し頭の程度の低い連中でも口だけは達者なのがいるわけです。こういうのが詐欺師になっていくんですかね。口八丁手八丁ですかね。
 物を売りに米国に来ているのに、相手と話ができないようでは困りますよね。それでまた、日系企業には系列のようなシステムがありますから、親方が「うちが今度出るから、おまえのところも来い」と誘われると断れないみたいですね。
 身内で固めるのは良いが、結局海外に出てもやっていることは日本国内と同じで、取引先が広がるわけでもなし、単に作る場所だけが違い中身は同じになりますかね。それで良いのでしょうかね?グローバル企業になるチャンスがありながら、それができない状態を自ら作っているわけですね。

 さて、進出が決まったとしましょう。日本から何人送り込むのですかね。当初は赤字になるでしょうから、その駐在員の年間経費も馬鹿になりませんね。車1台、家族も同行すれば最低2台は必要ですね。特に工場を作るような田舎になると足は車しかありませんからね。
 また家族が同行すると言っても簡単ではありませんね。子供がいると受験前の年齢だと余計に大変です。単純に「英語の能力が上がる」というわけにはいかないでしょう。ジョージアあたりに来ると公立学校のレベルが低いところが多いのでまた大変ですね。南東部のすべてが全米の平均よりも低いと考えておいたほうが良いでしょう。

 「米国駐在」と聞くと聞こえが良いのですが、NYCやロスに住むのとは訳が違いますからね。田舎に住むと悲惨です。チャックを製造している世界的な某会社の駐在員の話では、ジョージアの南に工場があり、最初の3-4年間は家族で駐在していたのに、その後は奥さんと子供は日本に帰国してしまったそうです。その理由は田舎過ぎて嫌だということのようです。アトランタから車で2時間以上も離れると、タバコ畑がピーナッツ畑ぐらいしかなく、私たちの想像を絶する田舎になります。そんな所に住むのは退屈であり、苦痛だったということですね。

 まあいい、主だった幹部は日本から連れてくるとしましょう。後は現地採用ですね。現地の日本人を採用して慣れない英語力の補助がてら通訳もしてもらうでしょう。
 また奥さんが日本人の米人を採用する、日本に住んだことのある多少日本語の理解できる米人を採用する、それも作戦でしょうが、それだって簡単には行きませんね。

 うちの店TAKAでは米人というか白人や黒人は採用しておりません。かつては採用していた時期もありましたが、クビにした人が大半です。はっきり言って使えないですよ、程度が低すぎます。それで何かあると言い訳をする。彼らに言わせると主張しているアピールしているんでしょうがね。

 うちみたいに10人程度の従業員なら多少、クビにしても訴えられることはありません。実際に10年間ビジネスをして、元従業員に訴えられたことはありませんからね。ただ、一般企業ではセクハラだ、差別だと難癖をつけて会社を訴え、金を合法的に奪う連中が山ほどいます。そして日系企業はそういうのに実に弱い。したがって「和解」してすぐに金を払ってします。相手もそれを知っているから訴えやすいわけです。

 さて会社が上手くいけば良し。それでも従業員は自分中心ですから、自分の都合でどんどん辞めていきます。忠誠心はありませんからね、当然ながら。頭の良い奴は、しっかり仕事をしてすべてが分かるとライバル企業に高値で自分を売りに行きますしね、またヘッドハンティングの会社もそういうのを狙っていますしね。トヨタの副社長がフォードに移ったのを覚えているでしょう?
 彼らからすれば当たり前のことで、お金を払ってくれる会社にどんどん移っていきます。定期昇給がないのが米国ですからね、自分で給与を上げていくしかないわけです。

 仮に会社が傾いたらどうします?清算するときにも米人の社員はしっかりインセンティブを取って辞めますね。退職金に始まり、健康保険代など取れるものはすべて取って辞めていきます。実際に有名日本企業が事業縮小で事業所を占めるときに人事部長が米人で、手厚いお手当てをつけていったそうです。
 我々、日本人からすると、「会社のせいでこうなったんだから仕方ない」となるでしょうが、業績が傾いて閉めるのに無駄なお金は1セントも払うべきではありませんね。何癖つけて追い出すくらいの度胸が必要なんです、自分から辞めるように追い込むとかね。
 我々は経営者として会社の利益を守ることを最優先にすることですね、気兼ねや遠慮、配慮は必要ありません。ドライに行かないと米人に舐められるだけですからね。

 以上、思いつくままに書いてみましたが、かなり本音だと思いますよ。この前もNYCから来た出張者と話をしていて、安易に会社を買って後で痛い目に遭うケースが実に多いと言っていました。その大半は、株式を取得して幹部を送り込むのは良いが、従業員に舐められているということです。どこまで土足で入っていけるかも問題ですね。大半の会社では日本人は日本人だけで会議をするケースが多いようです。
 飴と鞭の使い分けが大事なのかも知れませんし、サーカスの調教師のごとく、猛獣を操り、会社の業績を上げないといけないわけですね。





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