がんのリスクを考える

 ある記事からの抜粋です。

 国民の半数ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるという現在において、医療において人が恐怖をいちばん感じるのは“がん”という言葉でしょう。そこで、この質問の答えを考えてみてください
 「乳がんで亡くなる確率が最も高いのは何十代だと思いますか?」
 乳がんが女性のがんの第2位であるというのはよく知られていると思います。けれども、この質問に正解を答えられる方は驚くほど少ないのです。
 たいていの方が40代ないしは50代と回答されます(30代と答える方もいます)。また、年齢には関係ないと考えている方も結構いらっしゃいます。 実は、この質問に対する正解は、「90代」です。

このように言うと「でも、20代後半から乳がんにかかる人が急増する。年齢に関係なく検診を受けるべきだと、ここにもあそこにも書いてありますよ!!」と必ず反論されます。

それはそれで正しいのです。ただし、一部の情報が省かれています。その情報とは“分母”です。
 20代後半の方から乳がんが急増すること自体は間違いありませんが、グラフからすると、20代の方の乳がんは罹患率として数万分の1程度になります。40代で600分の1なのです(あくまで罹患率で、40代の方の死亡率は数千分の1まで下がります)。
 このように、乳がんに限らずがんは年齢によってリスクが増す病気なのです。
 でも、世間ではこのことが十分に理解されていません。乳がん対する恐怖がリスクを過大評価させていると言えるでしょう。
たとえ、1万分の1の確率でも、検診施設は年に5000~1万件の検査を行っている以上、数年に1回遭遇する確率なのです。
 20代前半女性の乳がんを、ある医療機関が十分な検診を怠ったために発見せず(見落とし)、その女性が命を落とした──。このようなニュースを聞いたときに、どう思われるでしょうか? 報道において、「分母」が併せて伝えられることはまずありません。

 「リスクが大きい」と脅威を叫ぶ人が責められることは、まずありません。
 ですから、きわめて可能性が低いと考えていたとしても、可能性がゼロではない以上、検査を行うよう推奨せざるを得ない部分があるのです。
 この状況を打破するためには、一般の方も、感情に流されず、理性を駆使して確率を理解する必要があります。
 がんにかかる確率を冷静に受け入れるのは、感情的に簡単なことではありません。しかし、そうすることによって恐怖が和らぐのであれば試す価値はあると思うのです。

大腸がんも“年齢”が最大のリスクです。
 大腸がん罹患(りかん)率は、40代が「数千分の1」、50代で「1000分の1」、70代で「数百分の1」です。
 40代から急激に増加することは間違いありませんが、リスクを把握した上で検査を受けることもまた必要だと思うのです。

大腸がんは進行が遅いため、定期的に内視鏡検査を受ければ早期発見によってほぼ完治できます。ただし、ざっくり確率論として羅患率は1000分の1、内視鏡検査は都合のついたときに数年に1回受ければ十分である、と考えれば、大腸がんリスクの恐怖もかなり和らぐのではないでしょうか?

 原発でも、がんにしても、リスクを実際よりも大きなものとして受け取られかねない発言をして、恐怖を煽るのは慎むべきである、ということです。
 そして、我々も過度にリスクにおびえるのではなく、理性を働かせてリスクに対する恐怖を克服する努力をすべきではないでしょうか。

 どうですか? 周りのわずかな人がガンになって、自分も怯えることがあると思います。確率でみていくと安心できます。でも用心は必要です。


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