20年の経験を1年では買えない、習得もできない 12月9日(火)

Deciembre Diecinueve (Martes)
 先週から、ある韓国人が店に来て、まあ知り合いの知り合いだったのですが、寿司をやりたいという、そして学びたいというのです。
 昨日も来て、皿洗いでもサーバーでも良いので、雇ってくれと言われましたが、断りました。
 まず、教えることをが済んだら辞めることが確実、韓国人の特性というか、物事を簡単に考えて先走りするのが彼らの特徴かと。それが良い面に出ることもあれば、悪い面に出ることの方が多い。

 そして何よりも、寿司の技術は、人に教わるものではなく、自分で確立するものであると私は思うからです。
 魚1つ買い、捌くにも、その人なりの考えがあると思います。先日、見たビデオでは、確か菊乃井では、鮮魚が着くと、一番にそれを下していました。
 その意味は、血合い(骨の周りの血の部分)を綺麗に掃除しないと、そこから悪臭が出てくるからです。
 私はそれまでそれを指や包丁の先で取っていましたが、菊乃井が小さいほうきのような竹製のようなもので取っていたので、ナイロンの繊維質でできたペイントブラシを買い、それを短くカットして使っています。これなら細部まで血合いが取れるからです。
 20年も寿司をやっていて思いついたことです。だから自分で考えて勉強して習得するしかないというのが私の考え方です。

 ちょうどドラマの陸王が今週の日曜日に最終回を迎えますが、あの足袋屋でもそうでしょう。100年の歴史は足りないものをお金で買収してきて成長してきた会社には真似できないのです。

 もう1つ、韓国人は教えた通りにやらない。どんどん彼らの都合が良いように流れるのです。その一例が「間」というレストランです。せっかく九州の居酒屋から人を招いて、指導してもらったのに、それが生かせないから、今年の秋に閉店しました。店が開いてちょうど1年で閉店です。
 指導で来た日本人は、福岡の人で、居酒屋やラーメン屋などを何軒もの店を経営されていました。成功した人を引っ張ってきて、教えてもらって真似さえできない、でもなんとなく流行っているものをやりたいわけです。
 それはお金儲けだからでしょう。居酒屋やれば儲かる、ラーメン屋やれば儲かる、寿司屋やれば儲かるからでしょう。しかし、それは売り上げが伸びて継続できての話です。
 そんなに簡単にできるものでは、ありません。レストランはそんなに甘くないですよ。予期せぬこととの闘いです。

 寿司屋は同じことをしている。ご飯を炊いて、寿司飯を作り、魚をおろして、握るだけ、と思っている人も多いでしょうが、そこには進化があります、年季や経験です。
 毎回、違う魚が入ってきます。特にマグロはそうです。天然の魚が同じわけないのです。先週は徳島から魚を買いましたが、初めての魚もありました。
 そういうときは、グーグルして魚を勉強してから対応しています。20年やって初めての魚もあるのです。だから終わりがない。
 そういうことで、寿司は学ぶものではなく、盗むものであり、そのあとは独学で仕上げていくものだというのが私の結論でした。

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