父から娘への手紙 6通目

 今回は失敗について書こう。
 まずは自分の失敗、沢山ありますね。この前もブログで書いたけど、私はどんどん失敗しなさいと勧める。特に若いときに失敗した方がいい。大人になるとそれは命取りになることがあるからね。
 環境を見て、自分の失敗を許せるような雰囲気ならしなさい、そうでなかったら注意が必要と認識すること。
 すべては上の人の判断次第だけどね、次につながる失敗なら、それは許される。私は従業員や回りの人に意外と厳しいかもしれないが、良い失敗なら叱るだけで済ませる。後には残さない。
 次頑張れば良いんだからね。それだけのことじゃないかと思うことが大事。

 最近というか約1年半前に失敗ではないが大事なお客さんを失ったことがある。家族4人で毎週末に来ていたアリシアさん(奥さんの名前)一家。
 少し人員が足らない時期があって、サービスが悪かった。それで腹を立てて「もう2度と来ない」と言っていた。私は状況を説明して「2度とこんなことは起こさない」と誓いましたよ。
 それでも彼等が戻ってくるには2ヶ月ぐらいかかりましたかね。結局、うちと同じフードを出せる店はなく、戻ってくるしかなかったんじゃないかと思うけどね。
 それで、私は嬉しくてテーブルまで行き、挨拶しフードも自分で運んだと思いますよ。その後はまた常連さんに戻ってくれました。
 残念ながら昨年の11月からオーストリアに転勤で、帰っては来ないが、夏には奥さんと子供がまず帰ってきて毎週2-3回は食事をしてくれました。ご主人も後で1回来てくれ、またオーストリアに戻っていきました。こういう素晴らしいお客さんがいるから私の店は維持できているんですよ。失敗を教訓にして改善したから今があります。

 私自身はどうか? この前インドネシア人の部下について「最悪の人間」みたいに書いたが、それでも帰り際に「ごめん」と謝ってきましてね。自分の非をきちんと認める人はそれを許すのです。  
 このアメリカにおいて「Sorry」という人は少ないんでね。Sorry=自分が悪いで白旗揚げるわけです。アメリカでは通用しないことですからね。悪くても自分が正しいのがアメリカでしょう?
 だからそういうケースは許すのです。まあ、全部悪い悪党なら別ですよ。彼は抜けてるが優しいとことろがありましてね、そういう良い部分は買うわけです。

 人間皆そうではありませんか? 100%の悪党なんているんでしょうかね? だから私は、そういう人間の良い部分と付き合うようにしている。悪いところはなるべく見ないように努めているのです。そうしたらみんな「良い人」ばかりになりますよね。
 1つや2つの失敗で「ダメ」の烙印押されたら、辛いですよね。では自分はどうなの?と言いたくなりますよね。だからそのあたりのストライクゾーンは大きくするのです。

 完璧な人間なんていないのです。80点を合格にして人間を判断すれば良いのでは? 少し前に多くの人から「あの人は素晴らしい」と称される人から、贈り物を頂きましてね。まあ、カジュアルだったんですが、家に帰って見たらプライスタグが付いていました。きっと見落としたんでしょうね。完璧と言われる人でもそういうミスをするのです。だからミスして当たり前、後はそのフォローをどうするか、今後ミスしないためにはどうするか、に注目できる人間でありたいし、そうあってほしいですね。

 娘は12月15日に帰国が決まっています。あと何通の手紙を書けるのか?

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