週末往来!

 久々に「ガラガラ蛇」が店に出現しました。金曜日の売り上げは木曜日よりも低いという惨敗ですね。こういうときは悪いことを全部書いて膿を出すしかありません。バーナキの発言で株価は1.7%上昇しましたが、来週は8月の数字が出てきますから、場合によっては1万ドル割れです。

 まずは住宅ローンの危機が、またもや近づいているという「悪いお知らせ」です。CNN-Moneyの記事ですが、実に面白いグラフがあります。05年から直近までの週間新規失業保険申請件数のグラフと住宅ローンの短期滞納の件数を重ねたグラフがあります。これを見ると同じカーブを描いているわけです。第2四半期に30日以上のローン滞納率が3.51%です。これは昨年末の3.31%から上昇しているわけです。景気の回復は当面望めないというのが見方です。

 次に「悪いお知らせ」は、25日に発表されて私が書かなかったことですが、7月の新規住宅着工件数が前年比で12.4%減少しています。今年6月は31.5万件でしたが、7月は27.6万件でした。24日に発表された中古住宅販売数が27.2%減でしたから、Wパンチを浴びたことになります。この先の見通しですが、政府はすでに税優遇策を延長していますが、効果はないと見るべきでしょう。仕事ないのに家買えますか?そりゃ、無理に決まっています。

 それでバーナキは何を言ったのか吼えたのかですが、「景気回復は予想よりも弱まった。必要に応じて一段の景気刺激策を講じる用意がある」と語っています。

 そして欧州では、「失われた10年」になってはいかんと欧州銀行総裁がけん制球を投げました。「失われた」は日本のバブル後のことを指していますが、日本はこの後からおかしくなったんじゃないですかね。それまでの日本にはまだ「1億総中流」の名残があったように思います。失われた10年の後で、ITバブルが若干起こり、ヒルズ族などに代表されるニューリッチが生まれた。そしてその一方で社会から取り残されていった人が急増したわけです。それがワーキングプアやホームレスなどになって社会の底辺で暮らし始め、また家でもひきもりに代表されるような今までにないような層が生まれたんだと思います。

 この原因を何に求めるかといえば、日本の産業空洞化ではないですかね。言い方は失礼かも知れないが、工場で組み立てなどの余り頭脳を使わない単純労働者は必要なわけです。高度成長期にはこうした底辺で働く職工さんが支えてきたわけですが、円高になり企業の海外進出が加速していく過程で、こうした単純労働者は弾かれていったんじゃないですかね。高い給与(決して高くはないのですがね)日本人雇うよりも、その10分の1で済む中国人を雇うほうが会社は儲かりますからね、当然の成り行きです。

 いわゆる空洞化の後始末ができなかったのが原因だと思います。それは大量生産システムを生み出したアメリカも同じことですね。世界一豊かな国といわれる中にしっかり貧困が根付いています。それは工場が海外に移転してしまったあと、彼らが働く場所が消えたからに他なりません。そういうのが政府の手当てを受けながら、麻薬や酒に溺れているわけです。

 それでも米国には1つに逃げ道があり、日本よりもマシなのかも知れません。その逃げ道は軍隊でしょう。仕事なければ軍隊にとりあえず入る。健康であれば就職できますからね。もちろん命を失う確率は高いのですが、お金が入って来ないよりは入って来るほうが良いでしょう。

 そんな最終就職口さえない日本は、その行き場がないため、いろいろ問題が起きているんじゃないですかね。それで、抜本的な解決法はあるかといえばないに等しいですよ。

 ただ前にも書きましたが、ドイツのように成熟した国が巧くやっていける方法もないでもない。それは自国の伝統産業を育成し、後継者を養成することでしょう。日本には数多くの伝統産業がありますが、生活様式の変化により、廃れる一方です。ところが海外ではそういうものが注目されているわけですね。

 例えば米国、たかが200年余りの国で、わが日本の10分の1しか歴史がないわけです。アメリカの伝統とは何か?そんなもんあるわけがない。どこの街を見ても同じようなビルばかりですね。近代的という特徴しかないのが米国でしょう。ところが日本には各地に様々な伝統が残っています。そういうものをしっかり育成して、売り先を海外に求めるとかいろいろ方法はあると思うのです。パリでは南部鉄の鉄瓶が人気ですし、売り方を知らないだけで、美しい日本の工芸品は海外で受ける要素が多分にありますね。そういうものをしっかりマーケティングしないといけないわけです。

 求める人はいると私は信じていますよ。ただ作り手と買い手の間に距離があり過ぎますね。今や世界を征服している寿司はどうでしょう? 日本の寿司そのままでは頭打ちだったんじゃないですかね。カリフォルニアで裏巻きという黒い海苔を隠して白いご飯を見せるという方法が登場したからこそ、ここまで広まったのではないですかね。また本道から外れても、「こんな寿司があってもいいじゃないか」的なものも寿司を広めることに貢献していると思います。

 日本人の皆さんはなかなか巻物を食べないでしょうが、寿司を揚げるとか、トースターで焼くとか、またフライパンでソテーするなど、我々の固定観念を超えた食べ方や料理法があったからこそ、ここまで広まったんじぁないですかね。

 このように伝統文化を継承、育成するシステムを作ればそこに雇用が生まれます。そしてもう1つは農業が将来の大事な産業になるはずなのに、若者は田舎を離れ都会に住んでいます。それで都会は窮屈になる一方で、田舎は過疎化が進んでいます。このアンバランスを解消するには田舎で産業を興すしかない、そして儲かる農業をすることで雇用が生まれるわけです。

 人間、お金がすべてではありませんが、お金持てば心も豊かになります。そうなれば余裕が生まれ、余暇の過ごし方も変わるだろうし、家に引きこもる必要もなくなるわけです。まあ、すべては「働く場所」を提供することから始めないといけないですね。

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