財政赤字について

 連邦政府は、議会に提出した財政見通しに関する中間報告で、2010会計年度(09年10月~10年9月)から19年度まで10年間の財政赤字が計9兆510億ドル(約850兆円)に達し、5月時点の予想より約2兆ドル(約188兆円)拡大するとの見通しを示しました。
 拡大を続ける巨額の財政赤字が、さらなる財政支出を伴う医療保険改革を目指すオバマ政権に追い討ちをかけるのは必至です。
 赤字見通しが拡大したのは、景気後退の長期化による失業給付金の支出増加や国債の大量発行による利払い負担の増大が主な原因です。さらに高齢者向け公的医療保険(メディケア)など社会保障費も、高齢化の進展で膨らんでいます。
 09年度の財政赤字は1兆5800億ドルと5月末時点の予想から約2600億ドル減少しました。これは銀行などへの公的資金投入がピークを過ぎ、資金返済が進んでいるためです。
 といってもこの数字は、過去最大だった08年度の3倍超の規模なんです。10年度の赤字は1兆5020億ドルと5月時点から2440億ドルも増加すると予想していています。
 空前の財政赤字について、オバマは「前政権の負の遺産」と弁明しています。しかし共和党は、大型景気対策や公的資金投入による大手金融機関や自動車メーカーの救済を理由に挙げています。税金投入しないと金融危機になっていただろうし、GMが破綻すれば多くの失業者が出ていただろうし、自動車の買い替え特例や住宅購入特例がなかったら、今の株価維持もなく、これが元で世界中が混乱していたでしょう。本当に末期がんの患者にモルヒネを打っているようなもんです。景気刺激しないと傾く、でもその財源はない、ないけとやらんと、さらに悪くなる。
  医療保険改革ですが、約4700万人の無保険者をなくすもので、年内の法案成立を目指しています。しかし、10年間で約1兆ドルものコストが見込まれ、実現を疑問視する声は多いのです。
 弱肉強食型の今の民間の保険制度で薬漬けにされるのがいいのか、そして金持ちは救い、貧乏人は死ね、的な現状を維持したほうがいいのか、マイル表示をキロメートル表示に変えるのとどちらが難しいでしょうか? アメリカ人は意外と変化を好まないんですよね。慣れたものから離れようとしない、レストランに来ても、毎回同じものばかりを食べます。10年間、同じ店に通ったとしても同じものを食べ続けるのが彼らの特性です。政府の保険なんて?と上層の人にとっては保険料が払えますから関係ないのが本音。下層の人にとってはありがたいように思えても、健康な人は、「何で病気もしていないのに保険料取るんだい、俺は病気しないし要らない」と反発されそうです。低所得者が仮に病気をしないと考えると、毎月100ドルの保険料を1年間払うと1200ドルです。1200ドルをどぶにしてるぐらいなら保険要らないからお金をくれよ、というのが現実だと思いませんか?

 

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