今日のニュースから といっても日経ビジネス最新号から

 デフレの特集でした。負のスパイラルデフレ? 巻頭に登場したのは高級スーパー、成城石井の大久保社長。「デフレを打ち切るには小売が力を発揮しないとだめ」と語っています。
 また、今後は、巨大なディスカウント店と特徴ある高付加価値店に二極化すると思うとも語っています。
 実際にそうでしょう、ここ米国でもウォルマートは勢力を広げる一方でホールフーズのような業態も伸びているわけですからね。中流がいなくなった現状、そして将来はさらに1割の富裕層とその予備軍2割、下に落ちかけている3割、残り4割の貧困層を相手にビジネスをしていかないといけないわけで、真ん中は生き残っていけないでしょう。
 その後の特集では、成功例である味の素、オギノなどを紹介していますが、結論は何かといえば、自社の方向性がはっきりしているところは勝ち組に入っているということです。そして「競合他社が安売りしているらしい、うちもやらないと」といった追随組は価格競争に巻き込まれ、安売り合戦の末、利益を削り、疲れ果て何も結果が残らず、赤字だけが残るといった結末を迎えるということですね。自社の方向性がはっきりすれば、やることがわかるはずで、何をつくり、どう売ればよいかも見えてくるわけですね。
 ディスカウントするにしてもやり方があります。例えば私の店では1年に2回のセールがあります・レストランでセール?と思うでしょう、それは「お客様感謝デー」です。1つは11月1日の寿司の日、この日は30%の割引を行います(昨年は30%相当のクーポンを配布しました)。もう1つは開店記念日の2月19日に行うドリンクの特別価格ですね、ビールを10セント以下で販売します。
 そして今は、ハッピーアワーを設けています。売り上げの弱い時間帯の特別価格です。時間帯でどうしても弱いのは開店直後です、そこの売り上げを伸ばすために試験投入しています。これから夏にかけてますます日が長くなれば、さらに弱くなる時間帯の売り上げ確保ですね。
 この前観た番組では、ある店にディスカウントのテーブルがあるのを見てなるほどと思いました。その店は夜景が売り物ですが、すべての席から夜景が見えるわけではありません。どうしても壁に隠れて夜景が見えない席もあるそうです。その席に座る方にはドリンクの割引があります。
 実は、これを昨冬やってみました。冬場の店で一番人気のないのは入り口付近です。ドアが開くたびに、風が入ってきます。たまにクレームをいただくこともあります。そういう席に座っていただいたお客様の請求書は10-20%割引しました。その気持ちが伝わったかどうかは定かではありませんが、お客様を気持ちよく帰すという結果になったと思っています。

 考えてみるとおかしなものです。元々、高いもの=高品質と思い込み、高価格のものを買っていた日本の消費者がどんどん安売りに流れていく。小売、メーカーがそれに引きずられて従っていく。
 米国では、かなり前から消費者が二極化していて、その始まりはおそらく1970年代ごろになるのではなかったでしょうか?それまでは製造業で働けば、ある程度の給与がもらえ、子供を学校に送り、家や車が買え、別荘をもつこともできたでしょう。そして日本がのし上がってくるにつれ、安い商品が流れ込み、米国内の製造業を潰していった。日本のあとを韓国が追い、中国や台湾、その他のアジア諸国がどんどん低価格で攻勢をかけていった。こうして米国の製造業は衰退、消えうせていった。その分、サービス産業や金融、ITが伸びたおかげで富裕層が生まれた、これは日本も同じことでしょう。米国の繰り返しを日本もやってきて1億総中流と呼ばれたものが2つに分かれてしまったわけですね。したがって、高いものか安いものしか売れない時代になってきたわけです。
 そこでユニクロのような資金力+マーケティング力のある会社は低価格で高品質の商品を作り、今売れているわけですね。他が同じ価格で挑戦しても品質で負けているし、最初にやった人がたいてい儲かるようになっています。
 じゃあ、今後はどうなるのか? それはどうなるかではなく、自社の方向性をまず考えることから始めないといけないでしょう。どんな市場にもニッチはあるわけで、二極化しても依然として中間層は存在するわけですから、いろいろな攻め方ができるわけです。そこがマーケティングになりますが、日本人はここが弱いんですよね。

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