米人は言う、「もう底は打っている」しかし、、、。

 今日、たまに来るマリオという恰幅の良い引退したビジネスマンに経済情勢について質問しました。彼は徳川家康を米人にしたような風貌で、あの大きな福耳に似合った資産を抱えている男です。毎月1回、ボードメンバーになっているカナダの会社へ行っています。
 「どうですか、経済は?このところ株が上がっていますが、私はもう1回落ちそうな気配を感じるのですがねえ」
 「すでに底は打っている、今は緩やかな上昇の手前の助走段階だな」
 「でも最近、訳なく上がった株価が、支えを失いずるずると8000近くまで落ちましたけど」
 「先週からの出される数字がかなり上向きになってきている。企業業績も予想を上回っていることを考えると、あまり心配することはない」
 「失業率はどうですか?、住宅価格も下がり続けますが?」
 「確かにそうだが、株価は先を見て動いているので、先が明るいということで上がっているんだ。もちろん、失業率は今後も悪化するし、住宅価格は下がるけどな。これらの回復には3-4年かかる。ただ、その前に企業の業績が上向くだろう」
と、こんな意見でした。

 その後で来たのが本を熱心に読む駐在員U氏ですが、彼の理論は少し違うのです。
 「今後、プライムのローンについてすでに焦げ付きが始まっていますが、これが表面化してきます。さらには、商業不動産についてもやばい状況になりつつあります。これが崩壊すると銀行はさらなる火種を抱えることになります。今は、FRBがお金を刷りまくってアメリカを回しています。そして財務省は米国債を日本や中国に売ってお金を作っています。この2つの小槌が打てなくなるのではないかと思います。お金が市中に出まわりすぎるということは、そのお金の価値を下げる働きをしますから、やがてドルは暴落することでしょう」

 私は、暴落する手前まですでに来ていますが、暴落しないのは、ここでアメリカが倒れると世界中が大混乱するので、しないように細い支柱を立てて支えているのだと思います。そしてこの国の懐の深さなのでしょう。やがて回るであろう大きな歯車を前に動かすためには何でもしないといけない。それまでは楽な梃子を使っていたわけですが、その梃子が折れてしまったから、歯車の動きがやけに重いのです。ギアチェンジまでもう少し時間がかかりますが、到達できるのか、それとも歯車が弾けて分解するのか、そのあたりを抑えながらの自転車操業ということですかねえ。

 このマリオ氏、昨年話をしたときには、「もう僕は金融資産の多くを現金化しているんでね、株が下がろうが関係ないんだよ」と余裕で笑っていました。

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