逆風でも伸びる! 老舗旅館から学ぶ

 ダメだダメだと思っているあなたを、やる気にさせてくれる記事です。

 地方で苦しい状況に追い詰められているのは、駅前の商店街だけではない。温泉街も同様である。
 1988年に約7万8000軒あった日本の旅館は、2011年度には約4万6000軒にまで減少しているという。20年の間に約4割の旅館がなくなった。
 各地の温泉街に実際に足を運んでみると、深刻な状況が一目でよく分かる。どこもかしこも廃墟だらけ。廃業した大型ホテル・旅館がそのまま放置され、無残な姿をさらしている。廃墟となった建物は当然、街の雰囲気を悪くする。ますます人を寄せ付けなくなり、もはや風前の灯となった温泉街も見受けられる。
 
 石川県にある加賀温泉郷の1つ、粟津温泉も厳しい逆風にさらされている。バブル最盛期には十数軒のホテル・旅館が立ち並び、年間約70万人の宿泊者でにぎわった。しかし、バブル崩壊後に凋落の一途をたどる。ここ数年でホテル・旅館の廃業が相次ぎ、現在営業しているのは10軒に満たない。年間の宿泊者数はピーク時の半分以下である30万人弱にまで落ち込んでいる。
 しかし、その中でもしっかりと踏みとどまり、北陸を代表する人気旅館の1つとして賑わう旅館がある。粟津温泉で700年の歴史を持つ「旅亭懐石 のとや」(石川県小松市)だ。

創業したのは鎌倉時代の1311年(応長元年)。2013年に702年目を迎えた。それほど歴史のある老舗旅館が、インターネットを使った集客にいち早く着手し、サービスの絶え間ない改良に努めている。
2012年度は売り上げが11億円、最終利益は約3000万円をあげた。のとやはバブルが崩壊してからも一度も赤字に陥ったことがない。いまや日本の旅館の半数以上が赤字と言われる中で、これは特筆すべきこと。

 のとやは「楽天トラベルアワード」を8年連続で受賞している。楽天トラベルアワードとは、宿泊予約サイトの楽天トラベルが「宿泊実績」と「宿泊者の評価」の高い旅館を選出する賞である。全国に約2万7000ある候補の中で、8年連続で楽天トラベルアワードに選ばれた旅館はのとやだけだという。

 そののとやの手法とは? お客様が部屋まで靴を履いたまま行けるようにした。それまで旅館というのは玄関で靴を脱ぐもの。それを部屋まで靴で行ってもらえるようにした。
 それには2つの効果があり、まず下足番が不要になり人件費の削減になる。また、お客様同士の靴の取り違いがなくなる。部屋まで靴で行くようにすると、日本旅館の雰囲気は確かに薄れるが、それよりも人件費の削減やお客様にとっての利便性を優先したということ。

 
 最大の改革は“脱旅行業者”を図ったこと。旅行業者に頼るのではなく、自分たちで集客していくという形に変えた。旅行業者に手数料を20%も取られていたことで、旅行業者が大量に送客してくれていたから、それでも利益が出ていたが、けれども全体的なパイが小さくなると、そんな薄利多売の商売ではやっていけなくなることは明らか。

 
 バブルの頃は旅行業者が、部屋の数をどんどん増やすよう全国の旅館に指導していた。そして部屋の数が多い旅館に優先的に団体客を送客した。旅館は、旅行業者の言うことを聞いて、銀行からお金を借りてどんどん部屋の数を増やした。結果的にバブルが崩壊し、多くの旅館が借金の返済に苦しむことになった。
 自前の営業として、県内の企業や老人会などに足を運び、ダイレクトな営業をするようにした。それまでは客先への営業は旅行業者が行くものであって、旅館が行くものではなかった。旅館にとっての営業とは旅行業者に顔を出すことだった。

 他にもメディアへの出稿を行った。リクルートの「じゃらん」など旅行雑誌への出稿を始めた。続いてインターネットを使った集客を始め、ネットの活用は90年代後半から着手した。
 まず自社サイトを立ち上げ、続いて「じゃらんネット」や「楽天トラベル」といったネットエージェントを通して集客するようにした。手数料は取られるものの、従来の旅行業者よりは安く済む。

 最後にのとやでは毎年、平均して約1億円をかけてリニューアルしている。これもお客様に喜んでもらうためのリニューアルで、例えば2012年には、お食事どころをリニューアル。かつて日本の旅館と言えば、部屋で食事をするものでしたが。最近のお客様はお食事どころを好む傾向がある。そこで、より快適に食事していただけるよう、お食事どころをリニューアルし、特に今回は料理人が目の前で天麩羅を揚げて、焼き物を焼くというスタイルを取り込み、見せ方に工夫を凝らした。 以上

 こうして考えると、まだまだ様々な業種で工夫できること、山ほどあるんじゃないですかね。私の店も、思えば毎年のようにお金をかけて何か新しくしていますよ。お客さんに「飽きられないこと」を思ってのことですけどね。メニューもそうですね、シーズンで入れ替えをします。
 酒の試飲会をするなどのイベントも欠かしませんし、毎週のニューズレターの送付もそうです。継続して行うことが大事だと思います。


 

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