ドミノ理論

 ドミノ知っていますよね。最初のドミノが倒れると、次が倒れ、どんどん止まることなく倒れていく。今回の世界恐慌の引き金を引いたのはアメリカでした。こうして昨年からを振り返ってみましょう。
 アメリカ経済ドミノが倒れると、欧州が倒れ、日本が倒れました。BRICSをはじめとする新興国のドミノまでは距離があると思われましたが、意外にも近くこれも倒れてしまいました。
 世界銀行によると、2009年に新興諸国に向かう民間部門の純資本流入は、過去最大だった2007年実績(1兆ドル)のわずか半分程度になる可能性が高くさらに、世界の貿易量は1982年以来初めて減少に転じるといいます。貿易と資本移動の後退は、世界経済が調整局面に入ったことを意味し、日本や中国、ドイツをはじめ、輸出に頼って成長してきた国は、早急に内需を拡大しなければ不況に陥ってしまいます。すでに米国向けに物を作っている中国の企業はどんどんつぶれていっています。経常赤字を抱える新興国にとっては、民間資本の逃避は、輸出収入を失うのみならず、資金調達が困難になることも意味します。すでに原油価格の下落で南米の国の中には経済が麻痺しそうな国も出てきています、そろそろ我慢の限界なのです。
 内需拡大といえば、公共投資ですが、また日本は「誰も使わない道路、橋」を作り税金のばら撒きをするのでしょうか? 日本の場合は、東京一極集中を変えていくことが生き残りであると思います。誰がそうした? 政治(ワシントン)と経済(NYC)を切り離しているアメリカは良いと思います。
 このドミノを立て直すには、やはり最初のドミノであるアメリカが立ち直らないと始まらないのです。アメリカが立ち直るということはアメリカ人が消費を続けられる状態に戻るということですが、これは可能でしょうか? 年末のモールの混み方を見ると「やはりアメリカ人は時期が来ると物を買う」と思いますが、12月20日土曜日のLenoxMall前の道路の渋滞を見ると「例年よりも少ない」と私は実感したのです。確かにモール前の道は混んでいたものの大したことない渋滞でした。
 もともと、お金のないアメリカ人が消費を続けることができたのは、クレジットカードのおかげ、これで無知な消費者を食い物にしたCITIを筆頭とする金融機関は今、痛い目に遭っています。そしてそれを可能にしたのは住宅価格上昇による含み益でした。一例で言えば、アトランタの住宅価格は2000年から2005年の間に40%近く上がっていたのです。場所によっては50%以上、上がった所もあるでしょう。こうした含み益が自動車を買わせ、家具や家電、旅行などに回り、さらには投資用としてフロリダや西海岸、ベガスなどのリゾートに向かったのでしょう。ここぞとばかり、儲ける輩が増え、ろくなクレジットもないのに家を買わせてしまった。これがサブプライムの始まりでした。やがて金利が上昇すると払えない人が続出、これでローンが焦げ付いた。ローンそのものを金融化して実態を分からなくして世界中に売りさばいていたのが、今は亡き投資銀行と呼ばれる金融機関でした。それらはこの1年ですべて名を消し、業務内容を変更していきました。こうしてコケてしまったのがアメリカのドミノだったのです。
 さて、1月19日からオバマ政権が発足しますが、すでに300万人の雇用創出に向け動きだしています。こういう点ではオバマのやろうとしていることは明快だと思いますが、失業率上昇を抑えるための雇用創出です。ただ住宅価格下落により含み損を抱えてしまったアメリカ人がその恩恵を受け、住宅価格の下落が止まり、上昇に転じていかないと、何も変わらないであろうというのが私の意見です。  
 お金のない人にものを買えと言っても無理でしょう?これまでお金がないのにクレジットカードでものを買っていたのです。今の自動車ローンの返済が終わらないうちに次の車に買い替えローンを重ねていたのです。そんな無知な人間が大勢いて消費を重ねていたことでアメリカ経済は支えられていたのです。家を買えば新しい家具を買いますよね。電化製品も買いますよね。家を買うことによって引き起こされる消費は多いのです。その方向に向かっていかないとアメリカ経済は再生しないと思うのです。
 ただ、1つだけアメリカが有利であることは、この国がまだまだ「見捨てたもんじゃない」ということでしょう。 良い面も悪い面もありますが、豊かな国であるということです。それを表現しているのが、ロシア、中国、アラブ諸国の新興勢力による不動産投資でしょう。今、都会で不動産を買っているのはこうした連中です。それは自分が将来アメリカに移り住むためであり、ビジネスを展開するため、また子息をアメリカに留学させるためでしょう。まだまだアメリカは魅力のある国なのです。
 そしてアメリカ人自身が場所を変わります。 NYCに住んでいた人がロスに移り、シカゴに住んでいた人がアトランタに移るのです。アメリカ人はやはり狩猟民族なのでしょう。狩ができる場所を求めて移り住みます。そして我々日本人は農耕民族ですから、同じ場所に定住する傾向があります。そういう面では「日本人は我慢強い」と言えます。どちらが正解なのでしょうか? 獲物を求めて次々と場所を変わる民族と、一定地に留まり、そこで土地を耕し、育てていく民族。
 ちなみにお隣の韓国人は日本人とは全く違う民族です。彼らは狩猟民族なのです。日本人と中国人と韓国人は「極東文化圏」で世界的には同じように分類され顔形もかなり近いのですが、中身は全く違います。韓国人がアメリカに押し寄せ、どんどんビジネスをしていくことを考えれば納得しませんか? 彼らは白人に近いのです。だから平気で国を捨てることができるのです。(日本は一時、強制移住させられた韓国人たちが乗っ取りを企んでいたという記事を読んだことがあります。これはまた機会があれば書きましょう。)
 話が大きくそれましたが、たとえばうちの店で働くインドネシア人に「もうアメリカはだめだから国に帰ったらどうか」と言ったことがありますが、彼らの意見は「インドネシアに帰っても、今と同じ生活はできない。治安も悪い」という理由なのです。ロシアもそうでしょうし、中国もそうでしょう。一時は世界中のクレーンの30%が動いていると言われたドバイも、今は死に体となっています。外国人労働者は解雇され、国外退去がすでに始まっています。この1年ですべてが変わってしまったのです。結果的に世界全体が悪くなっても「アメリカの懐は深い」というのが私の実感で、アメリカに住むことが、ほかの国に住むよりも有利であると言えます。
 といってアメリカが有利だからドルも有利に働くとは思わないのです。いずれは上昇に転じる可能性がありますが、ドルはしばらくの間、弱含みでしょう。これは意図的なもの、裏で操作されているかもしれません。ドルが弱くなるということはアメリカの対外借金が減るということです。財政赤字、貿易赤字で「破綻するかもしれない」と言われ続けているアメリカの一番簡単にできる借金減らしなのかも知れません。
 こうしてドミノを立て直すのに費やすのが2009年とすれば、来年いっぱいは「調整年」となることでしょう。さらなる下降局面になると思いますが、第4四半期ぐらいから横ばいになり、2010年に少し上向きの気配を見せるのではないかというのが、私の予測です。今からその準備をしないといけないでしょうし、ここで布石を打つことは将来の上昇局面で役に立つと思います。
 たまたま今日の朝刊にセンサスのデータがありました。07-08年の人口移動のデータですが、ジョージアは1.7%増加で9位でした。ちなみに1位ユタ、2位アリゾナ、3位テキサス、4位ノースカロライナ、5位コロラド、6位アイダホ、7位ワイオミング、8位ネバダ、10位サウスカロライナでした。自然災害とか考えると「内陸の時代」ですかね。「海岸線の時代」は終わったということです。

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