スミイカが教えてくれるもの


 たまたま入ってきたスミイカです、日本からですが。


 大量の墨を吐くから「スミイカ」と呼ばれるそうですが、
英語名はCuttlefishだけです。
 イカについてはあまり分かっていないようですが、世界に300-450種類のイカがいると言われていて、日本近海で60-100種類が確認されているそうです。
 私はイカの握りはこうして細切りにして梅肉を少しつけて大葉を散らします。お客さんには「醤油なしで食べてください」と指定します。これで分かる人は分かるのです。

 いつもはヤリイカ(剣先イカ)と味付けの紋甲イカしか扱いません。イカの注文は実に少ない。ヤリイカは冷凍でインドネシア産ですが、滅多に売れない。

 しかしながら、こうして美味しい生のイカを自分で握って食べると、「美味しい」と感じる。特に耳はコリコリして最高でした。

 アメリカ人でこのイカの美味さを分かる人は何人いるんだろうとも思います。大トロの脂こいのを食べて美味しいと思う人に、少し硬いイカは美味しいとはお世辞にも感じられないことでしょう。
 といって、流されて良いのか、やはりここは踏ん張って、美味しいイカの握りを作るべきではないかと思い、「スミイカに教えられた」と私は思ったのです。

 世の中、脂っこいものばかりが主流になってきています。特にアメリカ人はそうしてどんどん薄型テレビのような体型になってきていますが、寿司を売る人間として、やはりアメリカ人で100人中1人でも、このようなアイテムを美味しいという人がいるのであれば、それが本当の寿司であると教え、継続して売ることが大事なのではないかと感じます。

 売れ筋ばかりを並べるのもビジネス、しかし見せる商品をたまに売るのもビジネスですかね。

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