週末往来 地球の将来、水問題を考える。

 私がいつも言う「今後は水と食料がKEYとなる」ですが、気になるニュースが立て続けにありました。

1、インドネシアから → ジャカルタ・ポストによると、特別市のボウォ知事は6月3日「地盤沈下に大きな影響を与えているのは井戸を掘る住民らではなく、大規模な企業だ」と指摘。1000以上の企業が地下水を過剰に利用している現状を批判した。 インドネシア大のフィルダウス・アリ講師(環境技術)らの調査によると、1995年以降、ジャカルタ西部では毎年、19センチ、中心部でも11~13センチほど地盤が沈下。市水道公社の水供給量が不十分で価格も高いため、大型ホテルや大規模な事務所では地下水をくみ上げており、くみ上げ量は毎年、推定3億立方メートル以上という。1300万人以上が暮らすインドネシアの首都ジャカルタで、大量の地下水くみ上げによる地盤沈下が続いている。インドネシア大の研究者は、早ければ2012年にも市内の一部が海面より低くなると警告。ジャカルタ特別市(州と同格)は地下水の価格を6倍に値上げするなどして、くみ上げ抑制を計画している。

2、ロシアから → ロシアのトルトネフ天然資源相は6月23日に開かれた政府の会議で、現在のペースで地球温暖化が進めば、海面上昇のため2050~70年に、フィンランド湾に面するロシア第2の都市サンクトペテルブルクやバレンツ海に面する北方のムルマンスク州などが水没する恐れがあると警告した。 会議の報告で天然資源相は、ロシア各地の観測によると1月の平均気温はこの100年で3~4度上昇。このまま気温が上がり続ければ50~70年に海面は現在より10~20センチ上昇し、まずサンクトペテルブルクやカラ海に面するヤマル半島のかなりの部分、さらにムルマンスク州やアルハンゲリスク州も水没する危険があると指摘した。 天然資源相は、オランダや北米の西海岸も水没の危険があると警告。地球温暖化防止のための京都議定書に代わる「ポスト京都」の枠組み合意を急ぐ必要性を強調した。

3、アメリカから → 米ホワイトハウスは6月16日、気温上昇や豪雨など地球温暖化の影響が米国で既に起きているとする「気候変動に関する報告書」を公表した。海洋大気局(NOAA)など政府の13機関や主要な大学、研究所の専門家がまとめた。連邦議会が4年ごとの公表を政府に義務付けたものだが、ブッシュ前政権の後ろ向きな姿勢もあり2000年以来、発表されていなかった。温暖化の深刻さをあらためて指摘する政府見解の表明として、議会で審議中の温暖化対策法案の行方にも影響しそうだ。 報告書によると、過去50年間で米国の平均気温は約1度上昇し、西部では森林火災や干ばつが増えた。豪雨時の降水量も全米で20%増加し、特に北東部では67%、中西部では31%と大幅に増えた。

21世紀の大きな課題として飲料水の確保がクローズアップされています。現在世界では約11億人が安全な水を飲めない状態におかれ、人口の増加、途上国の産業化などによって年々その数が増えています。日本では当たり前のように飲める水ですが、「水はもはや、安全保障上“新たな石油”だ」とさえ言い切る専門家もいる。6月22日、世界中の水処理ビジネス関係者が集まる「シンガポール国際水週間(SIWW)」が開幕、高い技術力を持つ日本企業も参加しました。
会議が開かれるシンガポールは水の自給率が低く、海水や排水を飲み水にする水ビジネスを国策として推進している。従来、必要な水の半分以上を隣国マレーシアから購入してきましたが、2011年に一部協定が更新されるのを前に、マレーシアから 100倍の値上げを要求され、水の自給率向上が安全保障上の喫緊の課題となりました。これまでに貯水池を増設したり、海水の淡水化能力を急ピッチで向上させ、自給率を約8割まで引き上げました。
 地球は地表の7割が水で覆われているものの、天然に存在する水で飲み水に適するのは0.01%に過ぎません。世界ではエネルギーの節約とともに、節水意識が今世紀に入って高まっている。ロイター通信によると、五大陸に現地法人を持つ世界第2のビールメーカー「サブミラー」(英国)は、生産地ごとに1リットルのビールを醸造するのに何リットルの水を使っているかを公表。原材料の麦芽などの栽培に要した水も含むと、一番効率的なヨーロッパ産で40リットル、逆に南アフリカ産では 155リットルも使っているという。サブミラー社幹部は「公表は意識の高い消費者の支持を得るための経営戦略。節水をいっそう推進していく」と話しています。
 最近は環境意識の高いCAやNYで、高級レストランでボトル飲料の節約を呼びかける店が増えつつある。コカ・コーラは05年、インド・ケララ州の工場が干魃(かんばつ)被害が出ているのに大量の水を消費しているとして現地で指弾され、不買運動まで展開されて撤退を余儀なくされています。 日本の1人当たりの水消費量は1日約 320リットル(米国に次いで2位)で、アフリカの途上国の30~50倍にもなります。また、輸入される食糧の生産に必要な水の量を算入すると、日本は世界最大の「水輸入国」です。牛丼1杯の食材を育てるには2トンもの水が必要なのです。
国連の予測では今世紀半ばには、40億人が絶対的水不足に苦しむという。水は決してタダではなく、資源を超えた生命の源です。

そこで日本の技術が世界を救う可能性が高いのですが、住友商事は、メキシコのシウダー・フアレス市下水道公社から下水道設備の拡張工事などを受注。同市ではすでに、水関連事業の世界最大手、仏スエズ傘下企業と共同で下水道処理サービスを手がけていますが、設備増設工事の受注とともに、新たに下水処理プラントの保守運転・管理も請け負うことになっており、同市での下水処理事業が大きく広がります。下水を農業用水に再利用する処理設備の増設などが予定されています、水の再利用、有効活用ですね。 メキシコでは人口増加に伴い都市部での下水道整備が課題となっていますが、国全体の普及率は30%台にとどまっています。こうした下水処理設備能力を拡大すると、家庭や工場などから排出される下水を農業用水に再利用する1次処理能力が、従来比28%増に拡大。さらに、飲用には向かないものの、河川へ流せる水準まで浄化する2次処理能力が同36倍に増えるのです。これまで汚染水を垂れ流してきた国が変わるのは良いことです。
また丸紅は中国・成都で仏ベオリアと共同で、浄化した河川水を生活用水として供給する事業を開始。チリでは現地水道会社を06年に完全子会社化しました。
三井物産も06年からタイのバンコク近郊で上水道事業を始めましたし、三菱商事も、フィリピンのマニラで水道事業を現地財閥系企業と展開し、水ビジネスの成功例に数えられています。

(このコラムはサンケイ新聞などから拝借し、合成したものです)

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